岩隙
がんげき
名詞
標準
文例 · 用例
蓋し潭なく水は岩隙を透して走る。
— 長塚節 『草津行』 青空文庫
其面黒くして洗ふが如く、短木岩隙を求めて根ざすもの點々たり。
— 長塚節 『草津行』 青空文庫
アーエートは西側の海岸の岩隙の壁に凭れ、眼をあいたまま死んでいた。
— 久生十蘭 『海豹島』 青空文庫
岩角に手をかけて降りて行って見ると、夏になれば、ししうばや、岩菊や、薄赤い雪罌粟などのわずかばかりの亜寒帯植物が、つつましい花を咲かせる優しげな岩隙も、いまはいちめんに氷と雪にとざされ、長い氷柱がいくつも鐘乳石のように垂れさがって洞の入口をふさいでいた。
— 久生十蘭 『海豹島』 青空文庫
手早く昼食をし、岩隙のある削岩壁にとりかかった。
— 久生十蘭 『新西遊記』 青空文庫
手がかりがないので、狭い岩隙に拳を入れてコジリながら、右手のテラスに飛び移ろうとしている。
— 久生十蘭 『一の倉沢』 青空文庫
それは三十年前、菱苅が拳を入れてコジリつけた、その岩隙だった。
— 久生十蘭 『一の倉沢』 青空文庫