山賤
やまがつ
名詞
標準
文例 · 用例
その、しなりと俎の下へ伸びた皓々とした咽喉首に、触ると震えそうな細い筋よ、蕨、ぜんまいが、山賤には口相応、といって、猟夫だとて、若い時、宿場女郎の、※もかしくも見たれど、そんなものがたとえになろうか。
— 泉鏡花 『神鷺之巻』 青空文庫
形は山賤の木樵にして、翼あり、面は烏天狗なり。
— 泉鏡花 『多神教』 青空文庫
富山の町の花売は、山賤の類にあらず、あわれに美しき女なり。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
挿頭折る花のたよりに山賤の垣根を過ぎぬ春の旅人野を分きてしも これが美しい貴女らしい手跡で書かれてあった。
— 椎が本 『源氏物語』 青空文庫
『醒睡笑』に、海辺の者山家に聟を持ち、蛸と辛螺と蛤を贈りしを、山賤輩何物と知らず村僧に問うと、竜王の陽物、鬼の拳、手頃の礫じゃと教えたとある通り、件の牝猴幼くて捕われ蟹を見た事なき故怖れたのだ。
— 猴に関する伝説 『十二支考』 青空文庫
言って見れば、この地方の遠い古は山にたよって樵務を業とする杣人、切り畑焼き畑を開いて稗蕎麦等の雑穀を植える山賤、あるいは馬を山林に放牧する人たちなぞが、あちこちの谷間に煙を立てて住む世界であったろう。
— 第二部下 『夜明け前』 青空文庫
「今まで主として講じましたは、帝に仕え奉る、庶民の具体的の方法でござって、京師方の公卿や殿中人を、標準といたしたものでござるが、ただちに関東の武家方にも、あてはまるべき方法でござる、いやいや武家方ばかりでなく、浜に塩を焼く海人乙女にも、山に木を伐る山賤にも、あてはまるべき方法でござる。
— 国枝史郎 『娘煙術師』 青空文庫
」 すると案内の山賤が、つつましくうしろから声をかけた。
— 国枝史郎 『剣侠受難』 青空文庫