森羅
しんら
名詞
標準
文例 · 用例
神を見んと欲するか、さらば彼の天然を見よ、海を見よ、地を見よ、曙を見よ、天の諸星を見よ、空の鳥、野の獣を見よ、森羅万象一として神を吾人に示さぬものはない。
— 内村鑑三 『ヨブ記講演』 青空文庫
放心について 森羅万象の美に切りまくられ踏みつけられ、舌を焼いたり、胸を焦がしたり、男ひとり、よろめきつつも、或る夜ふと、かすかにひかる一条の路を見つけた!
— ――当りまえのことを当りまえに語る。 『もの思う葦』 青空文庫
この考えを更に押し拡め直接筋力と比較する事の出来ぬ種々の引力斥力を考えて森羅万象を整然たる規律の下に整理するのが物理学の主な仕事の一つである。
— 寺田寅彦 『物質とエネルギー』 青空文庫
秋は森羅万象が静寂の中に沈潜してゐる。
— 岡本かの子 『秋の七草に添へて』 青空文庫
六 自然の森羅万象がただ四個の座標の幾何学にせんじつめられるという事はあまりに堪え難いさびしさであると嘆じる詩人があるかもしれない。
— 寺田寅彦 『相対性原理側面観』 青空文庫
ある学者の考えているように森羅万象をことごとく有限な方程式に盛って、あらゆる抽象前提なしに現象を確実に予言することは不可能であって、そのゆえにこそ公算論の成立する余地が存している。
— 寺田寅彦 『時の観念とエントロピーならびにプロバビリティ』 青空文庫
また一茶には森羅万象が不運薄幸なる彼の同情者|慰藉者であるように見えたのであろうと想像される。
— 寺田寅彦 『俳諧の本質的概論』 青空文庫
芭蕉は万葉から元禄までのあらゆる固有文化を消化し総合して、そうして蒸留された国民思想のエッセンスを森羅万象に映写した映像の中に「物の本情」を認めたのである。
— 寺田寅彦 『俳諧の本質的概論』 青空文庫