逢い引き
あいびき
名詞
標準
文例 · 用例
「伊豆屋という酒屋の女房お八重は、前にも云う通り、大きい子供の三人もありながら、派手づくりで出歩くような女ですから、どうで碌な事はしていまいと思っていると、案のとおり落語家のしん吉に浮かれて方方で逢い引きをしている。
— 二人女房 『半七捕物帳』 青空文庫
この三斎屋敷の、奥深いところで、奇怪な親子が、めいめいの慾と執着とに、魂を、燃やしている頃、この屋敷から程近い、とある普請場の板がこいの物影に、何やら身を寄せ合うようにして、ひそひそと物語っている男女の影―― さては、人目を忍ぶ逢い引きか?
— 三上於菟吉 『雪之丞変化』 青空文庫
不気味なる逢い引きにでも向かっているかのように私はとぼとぼと歩き続け――ますます当惑するような幻想に、衝動に、擬制記憶に、苛まれていった。
— H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft 『時間からの影』 青空文庫
アネットは逢い引きへの道中だった。
— The Weight of the Crown 『王冠の重み』 青空文庫
いつも夜あけ方のさびしい野原で、或は猫柳の枯れてる沼澤地方で、はかない、しづかな、物言はぬ媾曳をしてゐるのだ。
— 萩原朔太郎 『散文詩・詩的散文』 青空文庫
いつも夜あけ方のさびしい野原で、或は猫柳の枯れてる沼沢地方で、はかない、しづかな、物言はぬ媾曳をしてゐるのだ。
— 萩原朔太郎 『散文詩集『田舎の時計 他十二篇』』 青空文庫
そんな島は、媾曳の夜のように、水火夫たちを詩人にした。
— 葉山嘉樹 『労働者の居ない船』 青空文庫
この湿気のある踊場風景のなかに、赤色ジョウゼットの夜会服をつつんだ、栗鼠の豪奢な毛皮の外套をつけたアトラクティブな夜の女の華車な姿が、化粧鏡を恋愛の媾曳のための、こころの置場として、僕に微笑みかけているのだ。
— 吉行エイスケ 『東京ロマンティック恋愛記』 青空文庫