怪気
かいき
名詞
標準
文例 · 用例
上田敏氏が何か演説せられたと見え、予の日記には「上田氏怪気焔」と書いてある。
— 木下杢太郎 『パンの会の回想』 青空文庫
勿論、支那の小説なるものは大抵は幾分の志怪気分を含んで居るようでありますが、ここでは明らかに〈志怪〉に限りました。
— 開会の辞 『中国怪奇小説集』 青空文庫
家々の軒には、怪気な画や「豊年万作」などの字を書いた古風の行燈や提灯が掲げてある。
— 石川啄木 『鳥影』 青空文庫
もっとも、田圃や畑の荒仕事を嫌いますので、よく留守番をさせましたが、私の家は門の処から町並では御座いますし、出入りもかなりに多い方で御座いましたから、別に可怪気ない事を仕出かして出て行ったものとも思われませぬ。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫
爺さんは「長髪」と呼ばれていたが、仕事をしまっての帰りがけには必ず安酒をあおって来て、ちぐはぐな怪気焔をあげていた。
— ――獄中手記―― 『何が私をこうさせたか』 青空文庫
「新しい女」は、吉原へおいらんを買いに行き五色の酒を呑んで怪気焔を吐き、同性恋愛の争奪をやり、若き燕を至るところで拵えるというような評判によってのみ世間へ紹介された。
— 辻潤 『ふもれすく』 青空文庫
が、仄聞するところに依れば、幸田節三は四五日以前に一升壜を携げて例の奇人的理学者兼清博士の蓬屋を訪ね、胡座の膝を交えて博士の怪気焔を拝聴したということだが、幸田節三のこの不敵な思い付きはそのおり博士に暗示されたものらしいというのである。
— 久生十蘭 『魔都』 青空文庫
だから蝮論客の怪気焔にも根はあざやかに具り、たゞ、無数の根から一つの根をとりだすには、御当人の品性や頭の問題が残るだけの話である。
— 坂口安吾 『志賀直哉に文学の問題はない』 青空文庫