心無
しんむ
名詞
標準
文例 · 用例
皆とも充分に相談の上で、いろいろ取りきめた事ですから、地下の兄、先王も、皆の私心無き憂国の情にめんじて、わしたちを許してくれるだろうと思う。
— 太宰治 『新ハムレット』 青空文庫
心無き振舞いかな、と老生少しく苦々しく存じ居り候ところに、またもや、老人もこのごろは落ちましたな、こんな店でとぐろを巻いているとは知らなかった、と例の人を見くだすが如き失敬の態度にて老生を嘲笑仕り候。
— 太宰治 『花吹雪』 青空文庫
問題外、関心無し、そんな気持に近かった。
— 太宰治 『家庭の幸福』 青空文庫
文學は、人を墮落させるものではないのです、等といま、ここで御母堂に向つて申し上げるやうな氣持で書いてゐると、私も邪心無く、愉快になります。
— ――田中英光著『オリムポスの果實』序 『田中君に就いて』 青空文庫
自身内部にある人格完成の芽もこれを仏性と言う)を念じ、無心無我となって、心を澄ますとき、この三毒の善用法が判って来るのです。
— 岡本かの子 『仏教人生読本』 青空文庫
孟子の所謂恒産無き者は恒心無しとでも謂うものか、多少でも財産や田畑のある者は左程でもないようだが、その他の奴等に至っては、どれもこれも、汗水流して少しばかりの金を儲けるよりは、ゴロゴロ寝ていた方が楽だといわぬばかり。
— 押川春浪 『本州横断 癇癪徒歩旅行』 青空文庫
その誤謬とは国民的民族的意識の喪失と固有文化への無関心無理解とであろう。
— 寺田寅彦 『映画芸術』 青空文庫
格式に拘泥しない自由な行き方の誹諧であるのか、機知|頓才を弄するのが滑稽であるのか、あるいは有心無心の無心がそうであるのか、なかなか容易には捕捉し難いように見える。
— 寺田寅彦 『俳諧の本質的概論』 青空文庫