飲児
いんじ
名詞
標準
文例 · 用例
彼の女は金之助の病中に、碁の弟子で、町の豪商|某の弟と怪しい仲になり、金之助の病気は其為更に重くなったのを気の毒とも思ず、遂に乳飲児を置去りにして駈落して了ったのだと話しました。
— 国木田独歩 『運命論者』 青空文庫
三亀雄の妻は先刻一寸顔を出したゞけで、乳飲児があるというのを口実にさっさと引き上げていた。
— 織田作之助 『俗臭』 青空文庫
私に一番接近した十五六の女の子の背負うて居た乳飲児が其女の子の肩へ挂けて白く乳を吐いた。
— 長塚節 『隣室の客』 青空文庫
乳飲児が白い百合の花を持つて居る。
— 長塚節 『隣室の客』 青空文庫
……しかしそのうちに乳飲児の品夫が、お磯婆さんと一緒に此家に引き取られて来るし、仮埋葬になっていた実松源次郎氏の遺骸も、正式に葬儀が行われるしで、事件は一先ず落着の形になったらしいのです。
— 夢野久作 『復讐』 青空文庫
乳飲児を抱へて、大きい乳房を二つとも披けて、叔母が居睡してる態を、私はよく見たものである。
— 石川啄木 『刑余の叔父』 青空文庫
乳飲児を抱いた若い女が、放蕩の良人を探し出そうとして、深夜に領地内を彷徨っている。
— 国枝史郎 『剣侠』 青空文庫
乳飲児を抱へて、筵も何もない処で臆びれもせず虚空な眸を見ひらいてゐた。
— 原民喜 『氷花』 青空文庫