緻
緻
名詞
標準
文例 · 用例
灰青色した緻密の熔岩と砂礫と互層をしているところを、筋違いに岩脈がほとばしって、白衣の道者たちが大沢で祈ったのと同じように、この岩脈を十二薬師の体現と信じて、崇拝するという話である。
— 小島烏水 『不尽の高根』 青空文庫
これを巡ると、大宮口から吉田口に到るまでの間に殊に多く灰青色の堅緻なる熔岩流があり、漆喰で固めたように山を縦に走っている。
— 小島烏水 『高山の雪』 青空文庫
「切り取る」と一口に言っても、普通の土ではなく、堅緻な岩であった。
— ――生きる為に―― 『山谿に生くる人々』 青空文庫
北海道の寒風がりんごの皮を緻密にし、その皮膚を赤く染めたように人足らも、その着物を厚くし、その頬を酒飲みの鼻の頭のようにしている。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
家内にせんには、ちと、ま心たらわず、愛人とせんには縹緻わるく、妻妾となさんとすれば、もの腰粗雑にして鴉声なり。
— 太宰治 『虚構の春』 青空文庫
――ねむり薬の精緻なる秤器。
— 太宰治 『めくら草紙』 青空文庫
盲人一流の芸者として当然の事なれども、触覚鋭敏|精緻にして、琉球時計という特殊の和蘭製の時計の掃除、修繕を探りながら自らやって楽しんでいた。
— 太宰治 『盲人独笑』 青空文庫
そして、縹緻よしの踊子は、たえまなく富裕な旋律のなかにいた。
— 吉行エイスケ 『東京ロマンティック恋愛記』 青空文庫