金波銀波
きんぱぎんぱ
名詞
標準
sparkling waves
文例 · 用例
而も凉しく、而も月明かに、船は靜に金波銀波の上を行く。
— 大町桂月 『月の東京灣』 青空文庫
おりから青空高らかにのぞいた七日の月の光をあびて、金波銀波を水面に散らしながら、静々と下ってまいりましたので、両側土手のわいわい連が、見たとてどうにもなるわけではないのに、ひと目でもひとより近くかいま見ようと、互いに互いを押しのけながら、どっといちじにざわめきたちました。
— へび使い小町 『右門捕物帖』 青空文庫
「金波銀波がきれいじゃがのう」 と少しはなれて行き違った天満船の、波のうねりを見てすみ子が言った。
— 倉田百三 『光り合ういのち』 青空文庫
太平洋には金波銀波が入り乱れて、海豚の群が、戦近しとも知らず、遊びたわむれている。
— 平田晋策 『昭和遊撃隊』 青空文庫
やがて日は海に入りて、陰暦八月十七日の月東にさし上り、船は金波銀波をさざめかして月色のうちをはしる。
— 徳冨蘆花 『不如帰 小説』 青空文庫
その時に、左の一方は海ですから、絶えずザブリザブリと、寄せては返す仇波が、月の色を砕いて、おきまりの金波銀波を漂わせつつ、極めて長閑に打たせていたのですが、陸なる紅の炎を見ることに、心の全部を吸い取られた茂太郎は、今し、全く閑却していたその海の方を、あわただしく向き直りました。
— 勿来の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
その肩を昼のような月が辷って、黒血川の水にささやかな金波銀波を流しています。
— 不破の関の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
波もない、風もない、満湖の月を受けた水面は、金波銀波に思うさま戯れの場を貸しているが、それでなんだか、物足らないものがあるような気分に堪えられないで、女の子は、「どうも、なんだか淋しいわ」 淋しいのはあたりまえである。
— 農奴の巻 『大菩薩峠』 青空文庫