戦き
おののき
名詞
標準
文例 · 用例
早瀬より、忍び足する夫人の駒下駄が、かえって戦きに音高く、辿々しく四辺に響いて、やがて真暗な軒下に導かれて、そこで留まった。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
既にして、松川が閨に到れば、こはそもいかに彼の泣声は正に此室の裡よりす、予は入るにも入られず愕然として襖の外に戦きながら突立てり。
— 泉鏡花 『妖怪年代記』 青空文庫
手首も冷たく只戦きに戦くので、ともかく座敷へ連れよう……何しろ危いから、こういうものはと、竹槍は明が預る。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
」 とまた差俯向く肩を越して、按摩の手が、それも物に震えながら、はたはたと戦きながら、背中に獅噛んだ面の附着く……門附の袷の褪せた色は、膚薄な胸を透かして、動悸が筋に映るよう、あわれ、博多の柳の姿に、土蜘蛛一つ搦みついたように凄く見える。
— 泉鏡花 『歌行燈』 青空文庫
医学士は真蒼になりて戦きつつ、「忘れません」 その声、その呼吸、その姿、その声、その呼吸、その姿。
— 泉鏡花 『外科室』 青空文庫
はじめ判事らが出廷せしとき、白糸は徐かに面を挙げて渠らを見遣りつつ、臆せる気色もあらざりしが、最後に顕われたりし検事代理を見るやいなや、渠は色|蒼白めて戦きぬ。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
吾を、殺す※」 というよりはやく、弾装したる猟銃を、戦きながら差向けつ。
— 泉鏡花 『琵琶伝』 青空文庫
やがてまた、物凄さ恐しさに、戦き戦き、その膚を見ねばならんのでした。
— 泉鏡花 『星女郎』 青空文庫