諸事情
しょじじょう
名詞
標準
various reasons
文例 · 用例
たった一つこれだけは漁り続けて来たつもりの食味すら、それに纏る世俗の諸事情の方が多くて自分を意外の方向へ押流し、使い廻す挺にでもなっているような気がする。
— 岡本かの子 『食魔』 青空文庫
僕はあなたが仰言った『無』それ自身充足する積極的ないのちのあるということが気になり、これを研究立証してみたくて、普通なら哲学でしょうが現代の諸事情も参酌して、純粋科学理論の物理学を選びました。
— 岡本かの子 『母子叙情』 青空文庫
それに足利三管領の一なる斯波氏の重臣家だから、京都の諸事情にも精通してゐた。
— 菊池寛 『二千六百年史抄』 青空文庫
以上の諸事情に依って戦争に於ける武力の価値は低く、持久戦争中でも消耗戦略の機動主義に傾くは自然と云うべきである。
— 石原莞爾 『戦争史大観』 青空文庫
当時のフランスの諸事情はもとより強力な背景として説明されているのであるが、統一的な文化上の目的のためには、それぞれの思想的傾向の中にふくまれている本質上の相異まで全く帳消しにして仕舞われたかのように紹介された。
— 宮本百合子 『今日の文学の展望』 青空文庫
一九三七年一月に発表された同氏の「厨房日記」にあらわれたインテリゲンツィアとしての思想性の全くの喪失と、今日純粋小説が昔ながら通俗小説に終らざるを得ない諸事情の萌芽は、この純粋小説論にふくまれている多くの矛盾に根をおいているのである。
— 宮本百合子 『今日の文学の展望』 青空文庫
後の困難な諸事情は、そういう人々の、いずれかと言えば受動的な勇気を挫き、昂奮の後の感傷や過度な内省を誘い出した。
— ――文芸時評―― 『ヒューマニズムへの道』 青空文庫
これには内部的なまた外部的な諸事情がからみ合っているのであるが、主なものはプロレタリア文学運動の指導方針の中にあった政治と文学との関係を見る点が文化主義的なものの影響と、当時のプロレタリア作家に未だ不足していた実力、権力の側からの強圧に対する受動的な態度等が相互的に関係し合っていたと思う。
— ――文芸時評―― 『ヒューマニズムへの道』 青空文庫