羽化登仙
うかとうせん
名詞
標準
a sense of release (as if one had wings and were riding on air)
文例 · 用例
もう少し酒興が深めばいよいよ羽化登仙というところで、サラリと正面の襖が開いて、コツコツと杖こそ突かぬが、ぬうと這入って来たは白髪白髯の老紳士とその老夫人であった。
— 北原白秋 『フレップ・トリップ』 青空文庫
三 ――羽化登仙の夢心地から妙義山の絶景を眺める怕さおもしろさのパノラマが手にとるやうである。
— 牧野信一 『月評』 青空文庫
そして、類ひ稀なるモロコシ酒の利き目は、盞を傾ければ忽ち羽化登仙、二盞を呑み尽せば王侯貴族の宮殿に主となつて、錦の寝椅子に恍惚としてゐるものを、あの声を耳にするがいなや、真さかさまに元の馬小屋に戻つてしまふと、憤つて、やがてはわたしの帰来と知つても故意に扉を開けようともしなかつた。
— 牧野信一 『幽霊の出る宮殿』 青空文庫
就中、カリガリ博士がサーカスの馬車から逃げ出して病院へ歸る路すがらの風景とあの博士の歩き方は、歩くというより立つたま々で坂をずつと上つてゆく、羽化登仙とでも言ふ走り方は、もの慘いほどはつきり今でも眼の前に浮いて來る。
— 竹久夢二 『砂がき』 青空文庫
あすこといふのがどこだか、いま覺めて思ひ出しても浮んで來ないが、なんでも恰しい場所で、うとうと眠りに落ちてゆく、あの羽化登仙の瞬間には、そのあすこが、昨夜のあすこだと、おぼろげに形をなしてゐるのだ、かういふ瞬間は、もう夢の入口らしいがこの頃はあの恰しい所へも遠くなつてしまつた。
— 竹久夢二 『砂がき』 青空文庫
三 かうして道業が進んで来て、やがて機縁が熟すると、彼等のあるものはかねての宿望どほりに羽化登仙する。
— 薄田泣菫 『独楽園』 青空文庫
酒の酔と鰒の熱とがからだいつぱいになつてとろ/\する心地はまさに羽化登仙である、生命なんか惜しくない、ほかに生命なんかないぢやないか!
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫
そいつが吾輩と同様|独身者の晩酌で、羽化登仙しかけているところへ、友吉の屍体を担ぎ込んで、何でもいいから黙って死亡診断書を書いてくれと云うと、鶴髪童顔先生フラフラの大ニコニコで念入りに診察していたが、そのうちに大声で笑い出したものだ。
— 夢野久作 『爆弾太平記』 青空文庫
作例 · 標準
例句