瀲
瀲
名詞
標準
文例 · 用例
すると是は如何に、眼の前は茫々漠々として何一ツ見えず、イヤ何一ツ見えないのでは無い、唯是れ漫々洋々として、大河の如く大湖の如く大海の如く、※々たり瀲々たり、汪々たり滔々たり、洶たり沸たり、煙波|糢糊、水光天に接するばかり、何も無くして水ばかりであった。
— 幸田露伴 『連環記』 青空文庫
湖水は瀲も動かない。
— 伊藤左千夫 『春の潮』 青空文庫
初は隣家の隔ての竹垣に遮られて庭を半より這初め、中頃は縁側へ上ッて座舗へ這込み、稗蒔の水に流れては金瀲※、簷馬の玻璃に透りては玉玲瓏、座賞の人に影を添えて孤燈一|穂の光を奪い、終に間の壁へ這上る。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
狂※波を鞭ちてエネエアスはリユビアの瀲に漂へり。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
黄雲ながく尾を引きて、黄金の瀲※湖に搖り、金線繁りぬ、玉松の葉。
— 長塚節 『長塚節歌集 中』 青空文庫
琵琶の銘ある鏡の明かなるを忌んで、叡山の天狗共が、宵に偸んだ神酒の酔に乗じて、曇れる気息を一面に吹き掛けたように――光るものの底に沈んだ上には、野と山にはびこる陽炎を巨人の絵の具皿にあつめて、ただ一刷に抹り付けた、瀲※たる春色が、十里のほかに糢糊と棚引いている。
— 夏目漱石 『虞美人草』 青空文庫
」 想ひ描けない空想に、己れの身を煙りに化へてまでも、何らかの形を拵へようとする彼の想ひは、徒らに渺として、瀲※と連り、古き言葉に摸して云ふならば、恰も寂滅無為の地に迷ひ込む思ひに他ならなかつた。
— 牧野信一 『鏡地獄』 青空文庫
29魚のやうにねむりつづける 瀲※としたみづのなかの かげろふ色のばらの花。
— 大手拓次 『藍色の蟇』 青空文庫