細流
さいりゅう
名詞
標準
streamlet
文例 · 用例
落葉松の林中には蝉時雨が降り、道端には草藤、ほたるぶくろ、ぎぼし、がんぴなどが咲き乱れ、草苺やぐみに似た赤いものが実っている、沢へ下りると細流にウォータークレスのようなものが密生し、柵囲いの中には山葵が作ってある。
— 寺田寅彦 『浅間山麓より』 青空文庫
黒表紙には綾があって、艶があって、真黒な胡蝶の天鵝絨の羽のように美しく……一枚開くと、きらきらと字が光って、細流のように動いて、何がなしに、言いようのない強い薫が芬として、目と口に浸込んで、中に描いた器械の図などは、ずッしり鉄の楯のように洋燈の前に顕れ出でて、絵の硝子が燐と光った。
— 泉鏡花 『国貞えがく』 青空文庫
去ぬる年、中泉から中尊寺に詣でた六|月のはじめには、細流に影を宿して、山吹の花の、堅く貝を刻めるが如く咲いたのを見た。
— 泉鏡太郎 『十和田湖』 青空文庫
その他名も知れぬ細流小溝に至るまで、もしこれをよそで見るならば格別の妙もなけれど、これが今の武蔵野の平地高台の嫌いなく、林をくぐり、野を横切り、隠れつ現われつして、しかも曲りくねって(小金井は取除け)流るる趣は春夏秋冬に通じて吾らの心を惹くに足るものがある。
— 国木田独歩 『武蔵野』 青空文庫
大根の時節に、近郊を散歩すると、これらの細流のほとり、いたるところで、農夫が大根の土を洗っているのを見る。
— 国木田独歩 『武蔵野』 青空文庫
この合流点を通った後に俳諧は再び四方に分散していくつもの別々の細流に分かれたようにも思われる。
— 寺田寅彦 『俳諧の本質的概論』 青空文庫
「お孝さん、……」 寂然としていたが、重ねて呼ぶのに気を兼ねる間も無く、雨戸が一枚、すっと開いて、下から映す蒼い瓦斯を、逆に細流を浴びたごとく濡萎れた姿で、水際を立てて、そこへお孝が、露の垂りそうに艶麗に顕れた。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
草履を土間に脱いで、一渡店の売物に目を配ると、真中に釣した古いブリキの笠の洋燈は暗いが、駄菓子にも飴にも、鼠は着かなかった、がたりという音もなし、納戸の暗がりは細流のような蚊の声で、耳の底に響くばかりなり。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
作例 · 標準
山道には、岩の間を縫うように細流が流れていた。
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庭の片隅に、せせらぎの音が心地よい細流を作った。
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干ばつの影響で、その細流はすっかり涸れてしまった。
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