秋色桜
しゅうしきざくら
名詞
標準
文例 · 用例
「そこから見えますか、秋色桜。
— 泉鏡花 『白花の朝顔』 青空文庫
一、 井戸端の桜あぶなし酒の酔 秋色 これは秋色といふ女が十三歳の時ものして上野の桜に結びつけたりとて、その桜を秋色桜と名づけ今も清水堂の裏手に囲ひたる老樹なり。
— 正岡子規 『俳諧大要』 青空文庫
(されども考証家の説に拠れば真の秋色桜の位置は此処にあらずして摺鉢山に近き方なりと)この意は井戸端に桜の咲きたるを見んとて酔どれし人の何の気もなくその木の下に近よるにぞ、もし過つて井の中に落ちもやせんと気遣ひたるなり。
— 正岡子規 『俳諧大要』 青空文庫
名高い秋色桜の事をおもいうかべつつ、私は興味をもって、古今の俳書から少しばかり花の句をあさって見た。
— 杉田久女 『桜花を詠める句』 青空文庫
井のはたの桜あぶなし酒の酔 秋色酔ふ人を花の俥へ総がかり みどり女 上野清水堂の秋色桜は枯れてしまったが、此句はひろく後世に喧伝されている。
— 杉田久女 『桜花を詠める句』 青空文庫
酔いしれた人を総がかりで花かげの俥に乗せつけている近代句に比して秋色の句、才気ほとばしり、当時では秀吟であったらしいが、桜あぶなしという所、危い技巧の山とも見えて、秋色桜を脚本としてかきおろされる筋の面白味は充分あるけど、句としては従来余りに高く評価されすぎている様に思う。
— 杉田久女 『桜花を詠める句』 青空文庫
桜には上野の秋色桜、平川天神の鬱金の桜、麻布|笄町長谷寺の右衛門桜、青山|梅窓院の拾桜、また今日はありやなしや知らねど名所絵にて名高き渋谷の金王桜、柏木の右衛門桜、あるいはまた駒込吉祥寺の並木の桜の如く、来歴あるものを捜むれば数多あろうが、柳に至ってはこれといって名前のあるものは殆どないようである。
— 一名 東京散策記 『日和下駄』 青空文庫
清水堂ちかくの秋色桜は、大正中世、川柳久良伎翁が中心となつて植樹されたものが枯れ、のちさらに何代目かの桜が戦乱中、たしか鶯団子の主人に拠つて新しく植ゑられた。
— 正岡容 『下谷練塀小路』 青空文庫