舎宿
しゃやど
名詞
標準
文例 · 用例
田舎宿の勝手元はこの二人の客で、急に忙しそうになって来た。
— 横光利一 『赤い着物』 青空文庫
ほんとうの田舎宿で、上り端の埃だらけな板敷の隅に南瓜がどっさり並べてあった。
— 宮本百合子 『突堤』 青空文庫
私は早熟な感情で、田舎宿の様子や隣室の西洋人の女の暮しぶり、雨の湖の風景などを眺め味わおうとするのであったが、弟たちは窓に二人並んで物も云わず、簡単に降りこめられた姿である。
— 宮本百合子 『突堤』 青空文庫
「電話で問い合わせてみよう」 なに、この田舎宿には電話まであるのか。
— DAS SCHLOSS 『城』 青空文庫
藤吉郎は、伊吹神社に参籠の者と称して、土地の田舎宿に二日ほど泊っていた。
— 第三分冊 『新書太閤記』 青空文庫
硫安何とか療法は、つまり草津温泉なり、不潔な感じも田舎宿の如し。
— 昭和三十三年 『古川ロッパ昭和日記』 青空文庫
宿取て裏見廻ルやあか椿 寿仙 田舎宿の趣であろう。
— 柴田宵曲 『古句を観る』 青空文庫
併し此等も先づ以て千遍一律の建築と言つてよく、ケネーの田舍宿では虱に攻撃せられ、汽車の中では塵埃と南京蟲に惱まされ、あらゆる惡蟲を經驗し盡して、二週間ぶりにポートセイドへ歸著し、一日遲れて到著した我が伏見丸に乘り込んだ時には、全くやれやれと蘇生の思ひをしたことである。
— 濱田耕作 『埃及雜記』 青空文庫