魚臭
ぎょしゅう
名詞
標準
文例 · 用例
魚臭き村に出けり夏木立 旅中の実咏である。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
独り荷物をかついで魚臭い漁師町を通り抜け、教わった通り防波堤に沿うて二町ばかりの宿の裏門を、やっとくぐった時、朧の門脇に捨てた貝殻に、この山吹が乱れていた。
— 寺田寅彦 『嵐』 青空文庫
蒸し暑い、蚊の多い、そしてどことなく魚臭い夕靄の上を眠いような月が照らしていた。
— 寺田寅彦 『田園雑感』 青空文庫
一九九〇年十月に日本IBMが発表した日本語MS―DOSの新版である、DOS/Vは、極東の島国の外に出てマシンをいじっている日本人には一発でピンとくるが、魚臭いこの国の空気を日々吸っている連中にはさっぱり訳のわからない新製品だった。
— 富田倫生 『青空のリスタート』 青空文庫
魚臭い油紙と、立派な芸術品であるスケッチ帳と、君の文字との間には一|分のすきもなかった。
— 有島武郎 『生まれいずる悩み』 青空文庫
ラムプに黄色く灯がついてから、弟の純次は腰から下をぐっしょり濡らして、魚臭くなって孵化場から帰ってきた。
— 有島武郎 『星座』 青空文庫
□魚屋は魚臭い、彼の肉体がさうであるばかりでなく、或は彼の精神までもさうであるかも知れない。
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫
」 家があって、漁船が繋がれていて、それとなく炊煙の匂いも感ぜられる魚臭い浜に、人がおった!
— 本庄陸男 『石狩川』 青空文庫