掬い取る
すくいとる
動詞
標準
文例 · 用例
が、ふと額の汗を指で掬い取ると、彼の眉がピンと跳ね上って、「こりゃいかん。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
早瀬の香魚を掬い取る、それより難いこの願い。
— 夢野久作 『白髪小僧』 青空文庫
母は慌ててそれをツケギで掬い取るやら、そのあとを雑巾で拭くやら(恐らく父に内証にするため、大急ぎで)していたが、「こんなことになるのも、お前があんまり言うことを聞かんからじゃ」とまた私を叱りつけた。
— 堺利彦 『私の母』 青空文庫
竹篦で液を掬い取る。
— 国枝史郎 『天主閣の音』 青空文庫
鱒がこの瀑を超えようとして跳び上る所を素早く掬い取る為に、漁夫が手網を持って岩蔭に待っている。
— 木暮理太郎 『利根川水源地の山々』 青空文庫
のみならず、鋭利な刃物で掬いとるように陰部を切りとって、陰毛を載せた一片の肉塊が、かたわらの壁の根に落ちていた。
— 牧逸馬 『女肉を料理する男』 青空文庫
何処かに此 赫きと色とを掬いとる 小籠はないか賢い ハンス・アンデルセンノーウェーで、五月の空気は 薫しくありませんですか?
— 宮本百合子 『五月の空』 青空文庫
錦子は、絵の具皿の中から、白と紅とが解けあったところを、指のさきに掬いとると、傍の絵絹の上へ、くるりと、女の腰の輪かくを一息に丸く描いて、その次には、上の方へもっていってポチリと点を打った盛り上をおいた。
— 長谷川時雨 『田沢稲船』 青空文庫