習気
じっけ
名詞
標準
文例 · 用例
南画の形式のさまざまの変革は対象の真を描かうとしての必然的な形式として生れたものであるが、他にはこの南画形式の種類の多さは『画工の習気を避けようとして』いろいろと変革を生みだしたのだと言はれてゐる。
— 美術論・画論 『小熊秀雄全集−19−』 青空文庫
大体に日本画のやうに、技術を尊重しなければ大成しがたい芸術は、従つて形式勉強の長さが、その独創性を育くむ場合よりも習気に溺れてしまふといふ危険性の場合が多い、そして画家の惰性、習慣性を救ふために、新しい形式を持ちだした。
— 美術論・画論 『小熊秀雄全集−19−』 青空文庫
習気に堕した南画形式の作家は多いが、この南画形式を、完璧な形式として、自由に扱ふ作家はまことに少い。
— 美術論・画論 『小熊秀雄全集−19−』 青空文庫
人の好い去来の如きは、始からその冷然とした態度に中てられて、さつきの不安を今更のやうに又新にしたが、独り其角が妙に擽つたい顔をしてゐたのは、どこまでも白眼で押し通さうとする東花坊のこの性行上の習気を、小うるさく感じてゐたらしい。
— 芥川龍之介 『枯野抄』 青空文庫
論者はこれに対して、現在の女教師や、女学生や、女流文人や、職業婦人やに共通する半可通的な、軽佻な、生意気な、あるいは粗野な習気を挙げて、その自説を弁護しようとするかも知れませんが、私は、かえってそれこそ論者の意見を顛覆させるものだと思います。
— 与謝野晶子 『「女らしさ」とは何か』 青空文庫
歌舞妓狂言興隆の初め、無頼の浪人の狼藉ぶりを包含して、神社芸術伝来の習気を一変して寛濶な明るい芸風にして以来、名もいつか歌舞妓と改つた。
— 折口信夫 『江戸歌舞妓の外輪に沿うて』 青空文庫
何となれば山野の習気を帯びたる党人を指導するよりも、君側に侍して献替補弼するの、寧ろ公の人格に賦与せられたる天品なればなり。
— 鳥谷部春汀 『明治人物月旦(抄)』 青空文庫
ちょうどそれのように絵画は、一タッチ一タッチ自分の習気、つまらないみえ坊、あるいは滞った、腐った自分、それから抜けだすために一筆一筆が自分から脱落していく、こんなふうに考える考えかたもあるのである。
— 中井正一 『美学入門』 青空文庫