猛雨
もうう
名詞
標準
文例 · 用例
一人の友達の、かつて、深山越の峠の茶屋で、凄じき迅雷猛雨に逢って、遁げも、引きも、ほとんど詮術のなさに、飲みかけていた硝子盃を電力遮断の悲哀なる焦慮で、天窓に被ったというのを、改めて思出すともなく、無意識か、はた、意識してか、知らず、しかくあらしめたものである。
— 泉鏡花 『薄紅梅』 青空文庫
炎天、烈風、猛雨、この間を突破し来りたる我々には、この広大無辺なる海洋の夕暮れに、闇らき波の白く砕けて岸に咆ゆる有様がいい知れぬ快感を惹き起して、我れ知らず躍り上るを禁じ得なかった。
— 井沢衣水 『本州横断 痛快徒歩旅行』 青空文庫
自分は猛雨を冒して材木屋に走った。
— 伊藤左千夫 『水害雑録』 青空文庫
自分は猛雨を冒して材木屋に走つた。
— 伊藤左千夫 『水害雜録』 青空文庫
むしろ、驚異の征服をなし遂げた、引き上げ時にですね、季節風の猛雨くらいあるほうが、劇的でいいですよ。
— 地軸二万哩 『人外魔境』 青空文庫
それに反して、季節風の猛雨が始まったら登行をするという、この折竹の説は暴論といおうか、まことに、常識外れの馬鹿馬鹿しいものだった。
— 地軸二万哩 『人外魔境』 青空文庫
だから、猛雨があれば氷塔に浸みこんで、あの邪魔ものを、ボロボロにしちまうと思うよ。
— 地軸二万哩 『人外魔境』 青空文庫
気象台員の雨乞ひ8・9(夕)「暴風が来る猛雨が来る九日から十二三日までの間に」 七日の正午頃藤原中央気象台大阪出張所長は梅田の通運会社の二階で、額の上に巻雲のやうな皺を寄せて心配さうに言つた。
— 大正八(一九一九)年 『茶話』 青空文庫