掉
掉
名詞
標準
文例 · 用例
「犬は大丈夫かい」「エエエエ直っきに来ますわ」「どうしてあの崖を駈け登れるだろう」慕門次は笑っている、ひょいと見ると、鼻をフン、フン、やりながら、もういつの間にか、傍へやって来て、嬉しそうに尾を掉っている。
— 小島烏水 『谷より峰へ峰より谷へ』 青空文庫
さあ、お目通りで、着物を引掉って神田児の膚合を見せてやらあ、汝が口説く婦じゃねえから、見たって目の潰れる憂慮はねえ、安心して切立の褌を拝みゃあがれ。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
」「ううむ、」 と頭を掉ったので、すっと立って、背後の肱掛窓を開けると、辛うじて、雨落だけの隙を残して、厳しい、忍返しのある、しかも真新い黒板塀が見える。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
小芳は幼いもののごとく、あわれに頭を掉って、厭々をするのであった。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
阿嬢は、就中活溌に、大形の紅入友染の袂の端を、藤色の八ツ口から飜然と掉って、何を急いだか飛下りるように、靴の尖を揃えて、トンと土間へ出た処へ、小使が一人ばたばたと草履|穿で急いで来て、「ああ酒井様。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
」 と頭を掉ったが、いたいけに、拗ねたようで、且つくどいのを煩さそう。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
」 と忙しそうに肩を掉って、「君(とわざと低声で呼んで、)この方は……」「生徒――」と見下げたように云う。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
後へ立淀んで、こなたを覗めた書生が、お妙のその笑顔を見ると、崩れるほどにニヤリとしたが、例の羽織の紐を輪|形に掉って、格子を叩きながら、のそりと入った。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫