踏
踏
名詞
標準
文例 · 用例
こう思いつつ何も考えない事にして、仰向に踏んぞりかえった。
— 伊藤左千夫 『大雨の前日』 青空文庫
そぼぬれてせまき歩道のしきいしを一つ一つに踏みて行きけり 以下一連の歌は悉く金玉である。
— 伊藤左千夫 『歌の潤い』 青空文庫
弔いの人に踏まれたらしいがなお茎立って青々として居る。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
お齒ぐろ溝の角より曲りて、いつも行くなる細道をたどれば、運わるう大黒やの前まで來し時、さつと吹く風大黒傘の上を抓みて、宙へ引あげるかと疑ふばかり烈しく吹けば、これは成らぬと力足を踏こたゆる途端、さのみに思はざりし前鼻緒のずる/\と拔けて、傘よりもこれこそ一の大事に成りぬ。
— 樋口一葉 『たけくらべ』 青空文庫
大路の霜に月|氷りて、踏む足いかに冷たからん。
— 樋口一葉 『軒もる月』 青空文庫
斯くまでに師は恋しかりしかど、夢さら此人を良人と呼びて、共に他郷の地を踏まんとは、かけても思ひ寄らざりしを、行方なしや迷ひ、窓の呉竹ふる雪に心|下折れて我れも人も、罪は誠の罪に成りぬ、我が故郷を離れしも我が伯母君を捨てたりしも、此雪の日の夢ぞかし。
— 樋口一葉 『雪の日』 青空文庫
お齒ぐろ溝の角より曲りて、いつも行くなる細道をたどれば、運わるう大黒やの前まで來し時、さつと吹く風大黒傘の上を抓みて、宙へ引あげるかと疑ふばかり烈しく吹けば、これは成らぬと力足を踏こたゆる途端、さのみに思はざりし前鼻緒のずる/\と※けて、傘よりもこれこそ一の大事に成りぬ。
— 樋口一葉 『たけくらべ』 青空文庫
踏むに冷めたき板の間を引裾ながく縁がはに出でゝ、用心口より顏さし出し、玉よ、玉よ、と二タ聲ばかり呼んで、戀に狂ひてあくがるゝ身は主人が聲も聞分けぬ。
— 樋口一葉 『われから』 青空文庫