糸桜
いとざくら
名詞
標準
droopy-branch cherry tree
文例 · 用例
」 やがて、水の流を前にして、眩い日南の糸桜に、燦々と雪の咲いた、暖簾の藍もぱっと明い、桜湯の前へ立った。
— 泉鏡花 『薄紅梅』 青空文庫
この瞬間、誰が、その藍染川、忍川、不忍の池を眺めた雪の糸桜を憶起さずにいられよう。
— 泉鏡花 『薄紅梅』 青空文庫
いきなり手を曳いて連れ込んだ、そのひき方がそそっかし屋で荒いので、私と顔を会わせた時は、よろけ加減で、お絹の顔が、ほんのりとなって、その長襦袢のしなやかな裳をこぼれた姿は、脊は高し、天井の黒い雲から糸桜がすらすらと枝垂れたようで、いや、どうも……祇園の空から降って来たかと思われました。
— 泉鏡花 『白花の朝顔』 青空文庫
あるいは灯をともす石燈籠や○○○○○といふ十二字を得たらば「梅の花」「糸柳」「糸桜」「春の雨」「夕涼み」「庭の雪」「夕|時雨」などそのほか様々なる題をくつつけるなり。
— 正岡子規 『墨汁一滴』 青空文庫
そこには四五本の棕櫚の中に、枝を垂らした糸桜が一本、夢のように花を煙らせていた。
— 芥川龍之介 『神神の微笑』 青空文庫
是日また大行寺の門前を通り過ぎて、わたくしは偶然東都歳事記に記載せられた垂糸桜の今猶すこやかである事をも知ったのである。
— 永井荷風 『上野』 青空文庫
わたくしは桜花の種類の多きが中に就いて其の樹姿の人工的に美麗なるを以て、垂糸桜を推して第一とする。
— 永井荷風 『上野』 青空文庫
七月十七日金 虚子先生 ○明治四十年八月五日(同上)(封書) 一昨日御話をした「糸桜」という小説はいそがぬから私に見てくれといいますからあなたへは送りません。
— 高浜虚子 『漱石氏と私』 青空文庫
作例 · 標準
お寺の境内には見事な糸桜が植えられており、春には多くの花見客で賑わう。
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風に揺れる糸桜の枝垂れた枝は、まるで天から降り注ぐ滝のようだ。
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旅館の庭に咲く一本の糸桜が、夜の闇に白く浮かび上がって幻想的だった。
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この糸桜は樹齢三百年を超え、町のシンボルとして親しまれている。
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