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挌闘

かくとう
名詞
1
標準
文例 · 用例
無理の圧迫が劇しい時には弱虫の本性を現してすぐ泣き出すが、負けぬ魂だけは弱い体躯を駆って軍人党と挌闘をやらせた。
寺田寅彦 枯菊の影 青空文庫
喧嘩を慰みと思っている軍人党と、一生懸命の弱虫との挌闘にはたいてい利口な軍人の方が手を引く。
寺田寅彦 枯菊の影 青空文庫
訥子といへば「血達磨」や「丸橋忠弥」の立廻りで、牛のやうに吼えながら牛のやうに挌闘するので聞えた男だが、あれだけの激しい立廻りをするのは、何か特別の滋養を採らなければならない。
大正六(一九一七)年 茶話 青空文庫
だが、その皺くちやな皮膚の上に見られる衰頽と気力との激しい挌闘の影は、どうにか捉へることが出来たが、澄みきつた眼のうちに湛へられた叡智のかがやきだけは、どんなに技を尽くしても写し取ることは出来なかつた。
昭和五(一九三〇)年 茶話 青空文庫
伯五郎と挌闘を演じて沼の中へ投げ込まれる場合や、沼のまはりを競馬のやうに追跡される光景に汗を流しながら、しかし僕はぐつすりと眠りつづけるのだ。
牧野信一 沼辺より 青空文庫
が、偽目くらと挌闘中、ピストルの弾丸に中った巡査は、もう昏々と倒れていた。
芥川龍之介 将軍 青空文庫
この作家の少年時代の好学心の具体化は常に父親のそういう態度との挌闘をもって、苦学の実力でもって結果的に闘いとられて行った跡が見える。
宮本百合子 山本有三氏の境地 青空文庫
晩年、特に最後の数年のトルストイとその家族の生活というものは、さながら急速に崩壊するロシア貴族階級の最も強烈な精神挌闘史の如き観がある。
宮本百合子 ジャンの物語 青空文庫