煉羊羹
ねりようかん
名詞
標準
文例 · 用例
のみならず青磁の皿に盛られた青い煉羊羹は、青磁のなかから今生れたようにつやつやして、思わず手を出して撫でて見たくなる。
— 夏目漱石 『草枕』 青空文庫
この子のだろう、細長い経木の函の中に四半分ほど葡萄色した煉羊羹が残っていた。
— 正岡容 『寄席』 青空文庫
うまい具合に煉羊羹、鬢付油と同じベトベトに溶け出してきた。
— 正岡容 『寄席』 青空文庫
そこの机の上に置いてあったお六の煉羊羹で結いやがったろう可哀想に」「お六やお六や。
— 正岡容 『寄席』 青空文庫
水には一片の塵芥も浮ばず、断崖には一茎の雑草すら生立ってはいないで、岩はまるで煉羊羹を切った様に滑かな闇色に打続き、その暗さが水に映じて、水も又|漆の様に黒いのです。
— 江戸川乱歩 『パノラマ島綺譚』 青空文庫
○ てんぷらの説 ○ 煉羊羹の起原岩居に語て曰、今をさる事五十余年|前天明の初年大阪にて家僕四五人もつかふほどの次男|年廿七八ばかり利助といふもの、その身よりとしの二ツもうへの哥妓をつれて出奔し、江戸に下り余が家の京橋南街第一をなし天麩羅とはいかなる所謂にかといふ。
— 鈴木牧之編撰 『北越雪譜』 青空文庫
大坂にてかれこれ食卓料理あまた弘りたれど野堂町の貴徳斎ほど久しくつゞきたるはなし」岩居がてんぷらをふるまひたる夜その友|蓉岳来り、桜屋といふ菓子や余が酒をこのまざるを聞て家製なりとて煉羊羹を恵ぬ、味ひ江戸に同じ。
— 鈴木牧之編撰 『北越雪譜』 青空文庫
さて此者が工風とてはじめて煉羊羹と名づけてうりけるに羊羹本字は羊肝なる事|芸苑日鈔にいへり喜太郎がねりやうかんとて人々めづらしがりてもてはやしぬ。
— 鈴木牧之編撰 『北越雪譜』 青空文庫