痲酔
痲酔
名詞
標準
文例 · 用例
念を推して、「それではよろしゅうございますね」「何かい、痲酔剤をかい」「はい、手術の済みますまで、ちょっとの間でございますが、御寝なりませんと、いけませんそうです」 夫人は黙して考えたるが、「いや、よそうよ」と謂える声は判然として聞こえたり。
— 泉鏡花 『外科室』 青空文庫
痲酔剤は譫言を謂うと申すから、それがこわくってなりません。
— 泉鏡花 『外科室』 青空文庫
ですから、そこへ噴泉から濛気が送られたので、あの溶解し易い痲酔剤が寒冷な露滴となり、それが、塗られた一本をしだいに収縮させていったのでした。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
痲酔剤を嚥ませた、しかし、殺害の意志がない――。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
僕はこの写真を撮るためにあなたに痲酔を利かせてこの病院に運び込んだのです。
— 夢野久作 『冥土行進曲』 青空文庫
彼は絶対に音を立てないように……まだ痲酔しているであろう唖女の眼を醒まさないように、用心しいしい納屋の扉の掛金を外した。
— 夢野久作 『笑う唖女』 青空文庫
そこで彼はいそいで睡つてゐる星を深い痲酔から呼びさまし、蛍を放すときのやうな軽い指さきの力でそれを空へと還してやつた。
— 三好達治 『測量船』 青空文庫