母代わり
ははがわり
名詞
標準
文例 · 用例
母代わりをしていた祖母であったから除喪のあとも派手にはせず濃くはない紅の色、紫、山吹の落ち着いた色などで、そして地質のきわめてよい織物の小袿を着た元日の紫の女王は、急に近代的な美人になったようである。
— 紅葉賀 『源氏物語』 青空文庫
ただ道が遠い所ですから奔走する私の足が痛くなることでしょう」 忠実に話し続ける薫の言葉を聞いていて、これを自分の問題であるとは思わぬ大姫君は、姉として年長者らしい、母代わりのよい挨拶がしたいと思うのであったが、その言葉が見つからないままに、「何とも申し上げることはございません。
— 椎が本 『源氏物語』 青空文庫
母代わりとなって妹弟ふたりを育ててくれたとお冬がいったのも、なるほどとうなずかれるのです。
— 朱彫りの花嫁 『右門捕物帖』 青空文庫
たったひとりのかわいい妹、日ごろわたくしが母代わりになっておりましたゆえ、当夜もこのわたくしが片ときも目を離さず、なにから何まで世話をしたのでござります」 だのに、障子の穴からにゅっと手が出たとすれば、怪奇の雲はいよいよ怪奇な雲に包まれてきたのです。
— 朱彫りの花嫁 『右門捕物帖』 青空文庫
私を子供の時から母代わりになって育ててくれたおばあさんが亡くなってから、私は仁川をはなれて京城のある箏のお弟子先で、箏を教えながら居候のようなことをしていたので、自然、父とは別れることになった。
— 宮城道雄 『五十年をかえりみて』 青空文庫
「冬ちゃんどうしているかしら……」 泰造の妹に当る母が亡くなってから、小枝の姉になる冬子が母がわりとなって家の主婦役をしていた。
— 宮本百合子 『二つの庭』 青空文庫
母がわりなので」とソーニャは早口に、おどおどした調子で答えた。
— フョードル・ミハイロヴィッチ・ドストエフスキー 『罪と罰』 青空文庫