辺三
へんさん
名詞
標準
文例 · 用例
そして、ごま塩のついた、非常に大きな、――それは他のどこの港でも見られない――人間の頭ほどの太さの、整頓した、等辺三角形の、握り飯を一つずつ、親方から受け取って、船室へ持って来ては食っていた。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
竹垣の直ぐ向は隣家の平家造の蔀のさびれた板にしきられて、眼界は極めて狭い不等辺三角形の隙から、遠い空中が覗かれる丈である。
— 平出修 『公判』 青空文庫
何しろ、もう三十余年前にただ一度実見したきりなので記憶がはなはだたしかでないが、網を張った叉手の二等辺三角形の両辺の長さが少なくも九尺くらいあり、柄竿の長さもほぼそのくらいあるかと思われ、とにかくずいぶん大きなものであるので、それを自由に操作するには相当の腕力を要するものであったように思う。
— 寺田寅彦 『鴫突き』 青空文庫
I氏の下側から見た鼻の二等辺三角形の頂角を目測しながら自分がつい数日前に遭遇したある小事件を思い出すのであった。
— 寺田寅彦 『試験管』 青空文庫
その倒辺三角形に似た形を見ても、彼女は演奏中に、その姿のままで後方へ倒れたものであることは明らかだった。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
正弘は公用人渡辺三太平を以てこれを幕府に呈した。
— 森鴎外 『渋江抽斎』 青空文庫
その中で一番|苦い顔をしたのは池辺三山君であった。
— 夏目漱石 『思い出す事など』 青空文庫
折角苦辛|惨澹して拵え上げた細密なる調査も、故|池辺三山が二葉亭歿後に私に語った如く参謀本部向き外務省向きであって新聞紙向きではなかった。
— 内田魯庵 『二葉亭四迷の一生』 青空文庫