掻き合わせ
かきあわせ
名詞
標準
文例 · 用例
熊本君は笑わず、ビイルのコップを手にとって目の高さまで捧げ、それから片手で着物の襟をきちんと掻き合わせて、「佐伯君の出発を、お祝いいたします。
— 太宰治 『乞食学生』 青空文庫
無暗に大きな声をするな」と、辰蔵は着物の襟を掻き合わせながら云った。
— 鷹のゆくえ 『半七捕物帳』 青空文庫
多可子は絶体絶命の気持ちで袖を掻き合わせ、眼を瞑っていた。
— 岡本かの子 『勝ずば』 青空文庫
「十三|絃の琴は中央の絃の調子を高くするのはどうもしっくりとしないものだから」 と言って、柱を平調に下げて掻き合わせだけをして姫君に与えると、もうすねてもいず美しく弾き出した。
— 紅葉賀 『源氏物語』 青空文庫
つまらぬことで人の感情を害したくないと思うのも、ただ一つの私の願いのあなたと永く幸福でいたいためじゃないのですか」 源氏は十三絃の掻き合わせをして、弾けと女王に勧めるのであるが、名手だと思ったと源氏に言われている女がねたましいか手も触れようとしない。
— 澪標 『源氏物語』 青空文庫
姫君はちょっと掻き合わせをした程度で弾きやめて琴を前のほうへ押し出した。
— 乙女 『源氏物語』 青空文庫
合奏の末段になって呂の調子が律になる所の掻き合わせがいっせいにはなやかになり、琴は五つの調べの中の五六の絃のはじき方をおもしろく宮はお弾きになって、少しも未熟と思われる点がなく、よく澄んで聞こえた。
— 若菜(下) 『源氏物語』 青空文庫
ぜひただ今も掻き合わせてやってください」 と責められて、女王は困っているふうであったが、爪弾きで琵琶をよく合うように少し鳴らした。
— 紅梅 『源氏物語』 青空文庫