萄葡
萄葡
名詞
標準
文例 · 用例
乾萄葡をつけたやうな二つの乳首の間に、陶器の皿のやうな心がついてゐる――見ると、髮の毛のやうなヒビが、そこに入つてゐるではないか!
— 小林多喜二 『一九二八年三月十五日』 青空文庫
「これ‥‥」 さう言つて、富士山の模様の風呂敷から、萄葡と固パンを出して私の膝に載つけましたので、私はチヨコレートの犬の尻つぽをお返しにしました。
— 林芙美子 『谷間からの手紙』 青空文庫
ビールでホップの味がするものや、リンゴ酒でリンゴの味のするものや、萄葡酒でほんのかすかでも萄葡から作つたしるしを見せるものがあつたら見せてもらいたいね?
— THE QUICK ONE 『手早い奴』 青空文庫
茲から四、五町の間は川沿いの細かい砂地を行くので、伸び放題に蔓を伸して絡み合い縺れ合いながら、太い綱を張り渡した木通や海老蔓や野萄葡などが、鋭い鎌の刃先に懸けられて、気持よく左右に薙ぎ倒されている、中にも往生際の悪い奴は、玉紫陽花などに巻き添いを喰したのもあった。
— 木暮理太郎 『黒部川奥の山旅』 青空文庫
帰ってくると、紫に染まった山萄葡の房が、累々と籠に溢れていることもある。
— 中村清太郎 『ある偃松の独白』 青空文庫
私の大きな荷物の中には、四尺にあまる鱒があり、折れぬようにと、宿で箱まで作ってくれた山の薯があり、お婆さんの丹精の、山萄葡のしぼり汁を詰めた瓶もある。
— 中村清太郎 『ある偃松の独白』 青空文庫