身装
しんそう
名詞
標準
文例 · 用例
2 極楽鳥の飾りをつけたフェルトの流行とは正反対のグランとツバの拡い帽子を目深にした身装、……流行品店の飾窓に映るかの女の姿態を裸体にするキャバレーの門柱のムーラン・ルージュ。
— 吉行エイスケ 『戦争のファンタジイ』 青空文庫
ところがここのヒョロクタ老ぼれ番頭、玄関へ出て来てジロリ、ジロリ一行の身装を上から下まで見上げ見下ろし、十分も経ってから初めて口を開いて曰く、「どうも只今満員で、お気の毒様でございます」 足は痛くなる、夜は更ける、洋服はグショ濡れになってゾクゾク寒い事ひと通りではない。
— 井沢衣水 『本州横断 痛快徒歩旅行』 青空文庫
私はどんな醜い女とでも喜んで歩くのだが、どんな美しい女でもその女が人眼に立つ奇抜な身装をしている時は辟易するのがつねであった。
— 織田作之助 『世相』 青空文庫
身装は構わず、絞のなえたので見すぼらしいが、鼻筋の通った、眦の上った、意気の壮なることその眉宇の間に溢れて、ちっともめげぬ立振舞。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
その都度|死装束として身装を繕ったろう、清い襦袢の紅の袂は、ちらちらと蝶の中に交って、間あれば、おのが肩を打ち、且つ胸のあたりを払っていたが、たちまち顔を顰めて唇を曲げた。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
最初その女が路を歩いている時|背後から一人|跟けて来た男があった、ということを通行人が告げたので、女は身装の可い上に、容色が抜群であるから、掬摸か、何ぞ悪意あって尾行したものであろうという鑑定で、女を取調べる旁その悪漢の手当に巡行を命ぜられたものである。
— 泉鏡花 『湯島詣』 青空文庫
」 と呟きつつ、提灯差附け凝視むれば、身装こそ窶々しけれ、頸筋の真白きに、後毛の匂こぼるる風情、これはと吉造首を捻って、「しっかりせい。
— 泉鏡花 『貧民倶楽部』 青空文庫
もう一人は小柄できびきびした人で、フロックにゲートルというきちんとした身装で、短く刈込んだ頬髯を持ち眼鏡をかけていた。
— SILVER BLAZE 『白銀の失踪』 青空文庫