幻辞.com

花桶

はなおけ
名詞
1
標準
文例 · 用例
大笹の宿の亭主が、余り帰りの遅いのを見に来て、花桶の水を灌いだんだそうです。
泉鏡花 河伯令嬢 青空文庫
「どう致しまして」 胸一ぱいに草花を抱いた米友は、婆さんのあけたところから土間の中へ入り込み、「花桶の中へ入れといて上げような」「ああ、どうぞ」 そこで米友は胸一ぱい抱えて来た秋草を、明いた花桶の中へ入れようとして、「おや、この桶には水がねえや」「水がありませんかね。
白骨の巻 大菩薩峠 青空文庫
トテもおいらのこの心持では、一つところにじっとしてはいられねえ」と叫び出すと共に、抛り出しておいた手桶を取って、その水をザブリと花桶の中に打込むと共に、疾風の如くこの店をかけ出して、伝通院の境内に姿をかくしてしまいました。
白骨の巻 大菩薩峠 青空文庫
オオ、お庭先へまた大分お人が見えた様子、妾は、重蔵様へ一輪お手向けして、これでお別れ申しまする……」 と、芙蓉を盛った花桶をさげて、悲恋の涙を水晶の数珠に隠しながら淋しい姿で立ち去った。
吉川英治 剣難女難 青空文庫
」 と、花桶の水を往来へぶち撒いて叱った。
吉川英治 かんかん虫は唄う 青空文庫
殿中の廊下には、たくさんの花桶が並べてあって、各※が心まかせに、好みの花を摘んで、挿けたり、家|土産に戴いて帰った。
太閤夫人 日本名婦伝 青空文庫
ところが、いつぞやの黒百合と同じ花が、他の雑な花と一緒に、一つの花桶に突っこんであったので、人々は、「まあ何として?
太閤夫人 日本名婦伝 青空文庫
その皆の眼は折ふし来合せた北の政所の面をお気の毒で見るにたえないというように外らしあっていたが、北の政所は、花桶に眼をとめると、「おお、たくさんにある……」 と、微笑んだだけだったので、その和やかな面をながめた人々は、「今日の花の、どの花よりもお美しい」 と、ひそかに思った。
太閤夫人 日本名婦伝 青空文庫