紅地
こうじ
名詞
標準
文例 · 用例
――紅地金襴のさげ帯して、紫の袖長く、衣紋に優しく引合わせたまえる、手かさねの両の袖口に、塗骨の扇つつましく持添えて、床板の朽目の青芒に、裳の紅うすく燃えつつ、すらすらと莟なす白い素足で渡って。
— 泉鏡花 『貝の穴に河童の居る事』 青空文庫
當日鳩山校長高田學監を初めとし各科學生は運動場に集まり、大隈伯邸から繰出した講師校友と合同して五時三十分號令一下紅地に白く「早稻田大學」の五字を染拔いた酸漿提燈に點火し、音樂隊の吹奏につれて「煌々五千の炬火」のマーチを歌ひながら勇ましく校門を出發した。
— 相馬御風 『校歌「都の西北」と私』 青空文庫
古渡り紅地広東縞の羽織。
— 断腸亭日記巻之三大正八年歳次己未 『断腸亭日乗』 青空文庫
地質は多分|塩瀬であろう、表は上の方へ紅地に白く八重梅の紋を抜き、下の方に唐美人が高楼に坐して琴を弾じている図がある。
— 谷崎潤一郎 『吉野葛』 青空文庫
かたわらの将はみな流亡の垢とつづれを纏っていたが、尊氏だけは、紅地金襴の鮮らかなよろい小袖と具足を着ていた。
— 筑紫帖 『私本太平記』 青空文庫
紅地帯に住む者、白地帯に生きぬく者、いわゆる源平時代はここに始まり、平安朝貴族の夢は今、終焉の炎にくるまれています。
— 吉川英治 『随筆 新平家』 青空文庫