立て籠もる
たてこもる
動詞
標準
文例 · 用例
結婚してしまえば、旦那さまや奥さまに愛せられて、自分々々の生活に立て籠もるのよ。
— 徳田秋声 『縮図』 青空文庫
葉子は締切りが迫って来ると、下宿の部屋からも姿を消して、近くにある静かな旅館の一室に立て籠もることもあったが、ある時などは、どこを捜しても見つからないこともあった。
— 徳田秋声 『仮装人物』 青空文庫
――吾々は個人的意識の概念に立て籠もることは之を却ける、それは個人意識をそのまま無条件に、機械的に、同一哲学式に、社会人の心理にまで移行させるからである。
— 戸坂潤 『イデオロギー概論』 青空文庫
いや今日の支配者的文化の指導者達は、みずからそこまで引き上げ、そしてそこに立て籠もるようになるに相違ない。
— 戸坂潤 『再び科学的精神について』 青空文庫
残る問題は、上州吾妻へ遁れて行くか、岩殿山方面にたて籠るかの二つだった。
— 第六分冊 『新書太閤記』 青空文庫
それとも彼女は逮捕を恐れる余り、人里離れた山の中へ、たて籠る積りででもあったのだろうか。
— 江戸川乱歩 『悪魔の紋章』 青空文庫
苟しくも生きてゐる間は思索と執筆とが自分の生命だとして、晝間も薄暗い室に立て籠ると、やがて夜になつてしまう。
— 發展 『泡鳴五部作』 青空文庫
全體、運命劇なるものは、之と對峙して居る性格劇が、性格なる形式を作つて、それに立て籠ると同樣、運命なるものを何だか不可抗な力と見て、神とかエネルギーとかいふ樣な存在物と同樣な物を暗示するのであつて、いまだ徹底した作劇法に合つて居るとは云へないのは、性格劇と同じである。
— 岩野泡鳴 『神秘的半獸主義』 青空文庫