殆何
殆何
名詞
標準
文例 · 用例
当主格之助などは、旧塾に九人、新塾に十余人ゐる平の学生に比べて、殆何等の特権をも有してをらぬのである。
— 森鴎外 『大塩平八郎』 青空文庫
いや、名高い庭師の造つた、優美な昔の趣は、殆何処にも見えなかつた。
— 芥川龍之介 『庭』 青空文庫
男は殆何の気なしに、ちらりと窓を覗いて見た。
— 芥川龍之介 『六の宮の姫君』 青空文庫
江戸川さんが、殆何も書かなくなつたのは、色々な理由の上に、更に、かう言ふ風潮に對するあきたらなさが、心を重くしつゞけてゐるのであらう。
— 折口信夫 『人間惡の創造』 青空文庫
此処は壁に懸けた軸の外に殆何も装飾はない。
— 芥川龍之介 『上海游記』 青空文庫
――兎に角、垂死の芭蕉の顔に、云ひやうのない不快を感じた其角は、殆何の悲しみもなく、その紫がかつたうすい唇に、一刷毛の水を塗るや否や、顔をしかめて引き下つた。
— 芥川龍之介 『枯野抄』 青空文庫
二階は六畳に三畳の二間つづきであるが、前桐の安箪笥と化粧鏡と盆に載せた茶器の外には殆何にもない。
— 永井荷風 『つゆのあとさき』 青空文庫