乗り合い
のりあい
名詞
標準
文例 · 用例
七月八日の朝、一番発の馬車は乗り合いを揃えんとて、奴はその門前に鈴を打ち振りつつ、「馬車はいかがです。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
不意を吃いたる乗り合いは、座に堪らずしてほとんど転び墜ちなんとせり。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
向者は腕車を流眄に見て、いとも揚々たりし乗り合いの一人は、「さあ、やられた!
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
乗り合いは前後に俯仰し、左右に頽れて、片時も安き心はなく、今にもこの車|顛覆るか、ただしはその身投げ落とさるるか。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
乗り合いは思わず手を拍ちて、車も憾くばかりに喝采せり。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
車はこれがために傾斜して、まさに乗り合いを振り落とさんとせり。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
ここに馬車の休憩所ありて、馬に飲い、客に茶を売るを例とすれども、今日ばかりは素通りなるべし、と乗り合いは心々に想いぬ。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
乗り合いは切歯をしつつ見送りたりしに、車は遠く一団の砂煙に裹まれて、ついに眼界のほかに失われき。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫