惨怛
むご怛
名詞
標準
文例 · 用例
文化、文政、天保間の伝奇小説に応用されたる、丑の時詣なんど謂えるものの実際功を奏すべしとは、決して予の信ぜざるところなるも、この惨怛たる光景は浅次郎の身に取りて、喜ぶべきことにはあらずと思いき。
— 泉鏡花 『黒壁』 青空文庫
しかし、今|疾痛惨怛を極めた彼の心の中に在ってなお修史の仕事を思い絶たしめないものは、その父の言葉ばかりではなかった。
— 中島敦 『李陵』 青空文庫
流行の先を制せむとては、新柳二橋と、三井呉服店へ、特派通信員を、お差立てにも、なりかねまじき、惨怛の御工夫。
— 清水紫琴 『したゆく水』 青空文庫
しかるに論者は一方においては冗官を汰すべし、不急の土木を廃すべし、地税を減ずべしと疚痛惨怛、かの舜が歴山の野に犂によって佇み、旻天に号哭したるがごとく嘆訴すれども、かえって一方においては海陸軍を拡張せざるべからずと勧告するはなんぞや。
— 徳富蘇峰 『将来の日本』 青空文庫