控え綱
ひかえづな
名詞
標準
文例 · 用例
それも所詮は我が家に控え綱がないからかと思います。
— 岡本綺堂 『番町皿屋敷』 青空文庫
わが身の出世ばかりを願うて、親を忘れては不孝じゃぞ」 第一の抗議で失敗した彼は、さらに孝行の二字を控え綱にして、女の心をひき戻そうとあせったが、それもすぐに切り放された。
— 岡本綺堂 『玉藻の前』 青空文庫
石段もところどころ崩れ損じた、控綱の欲いほど急ではないが、段の数は、累々と畳まって、半身を、夏の雲に抽いた、と思うほど、聳えていた。
— 泉鏡花 『神鷺之巻』 青空文庫
其時ぢいさんが其まんまで控綱を其処ン処の棒杭に縛りツ放しにして猿をうつちやつて行かうとしたので、供の女中が口を出して、何うするつもりだつて聞いた。
— 泉鏡花 『化鳥』 青空文庫
その時じいさんがそのまんまで控綱をそこン処の棒杭に縛りッ放しにして猿をうっちゃって行こうとしたので、供の女中が口を出して、どうするつもりだって聞いた。
— 泉鏡花 『化鳥』 青空文庫
舷に帆布や蒲団のような柔かなものをかい、帆柱がフワリと跳ねかえって海へ落ちるように仕掛け、さあいま倒れるというとき、すばやく控綱を切る。
— 久生十蘭 『重吉漂流紀聞』 青空文庫
そなたはお船頭の扱いで、栄耀をしているから気がつかなかったろうが、この船の水夫どもは、わしらが乗ったのを縁起悪がり、ちょっと甲板に出れば、後から蹴る、棒切を投げつける、突っころばすやら水をかけるやら、この間などは、控綱に触ったというばかりに、猫吊しにして海へ投げそうにした。
— 久生十蘭 『重吉漂流紀聞』 青空文庫
そこで誰かが、「控綱を切って檣を倒せ」 と適宜な指示をした。
— 久生十蘭 『ノア』 青空文庫