指導性
しどうせい
名詞
標準
文例 · 用例
ただ、実際の政治運動の如く民衆に対して強力な指導性を持たず、徐々に人の心に浸潤し、之を充足せしむる用を為すものだ、というような意味ではなかろうかと思われる。
— 太宰治 『惜別』 青空文庫
かようにして志と気魄とのある青年は、ややもすれば甘いものしか好むことを知らない娘たちに、どんな青年が真に愛するに価するかを啓蒙して、わが心にかなう愛人に育てあげるくらいの指導性を持たねばならぬ。
— ――恋愛―― 『学生と生活』 青空文庫
過度の書物依頼主義にむしばまれる時は創造的本能をにぶくし、判断力や批判力がラディカルでなくなり、すべての事態にイニシアチブをとって反応する主我的指導性が萎えて行く傾向がある。
— ――いかに書を読むべきか―― 『学生と読書』 青空文庫
これらの人々の考えかたの特徴は、作家の大衆に対する文化的指導性を自身の社会性についての省察ぬきに自認している点、及び、所謂|俚耳に入り易き表現ということを、便宜的に大衆的という云い方でとりあげていて、従来の通俗文学との間に、画すべき一線のありやなしやを漠とさせている点等にある。
— 宮本百合子 『文学の大衆化論について』 青空文庫
我々の周囲では、昨今、批評に規準または指導性がありやなしやということなどが論ぜられている。
— 宮本百合子 『近頃の話題』 青空文庫
そもそも批評とはどういうものであるかということを今日の事情の中で再び見きわめようと努力せずに、当今の批評家なり批評なりが規準を失い指導性を失っている、その現象を、その現象の枠内で論じている形であるのは遺憾である。
— 宮本百合子 『近頃の話題』 青空文庫
欧米でも伝記小説は流行している由であるが、それに対して批評家は、今日のヨーロッパにおける文芸思潮の指導性の喪失の表現として観察している。
— 宮本百合子 『鴎外・芥川・菊池の歴史小説』 青空文庫
雑誌『行動』主催で、文学の指導性座談会が催された席上で、文学における行動性について、たとえば新居格は「なんでもいいからやれば宜いと思うんだ」といっている。
— 宮本百合子 『一九三四年度におけるブルジョア文学の動向』 青空文庫