灰緑
かいりょく
名詞
標準
文例 · 用例
丈は四五寸に伸びて、淡灰緑色の葉が四枚から六枚ぐらゐ、節毎に二枚づつ相對してゐる。
— 島木健作 『生活の探求』 青空文庫
野生のイチジクが壁の裂目から生えでて、広い灰緑色の葉で壁の素肌をおおっています。
— BILLEDBOG UDEN BILLEDER 『絵のない絵本』 青空文庫
殊に遠い峰は赤沸石のやうな半透明な灰緑色を呈して、ぼんやりと漠々たる大空の内に沈んでゐる。
— 木下杢太郎 『海郷風物記』 青空文庫
たとへば春さき灰緑に芽ぐんで來る佃島の河沿の河原の草などを見る時分には、どうしても黒田さんの樣風を想ひ出さずには居られない。
— 木下杢太郎 『京阪聞見録』 青空文庫
柘榴のこまかい葉の繁みは真新しい油絵具の濃い緑のように濃く、生垣越しのポプラの若木の梢は軽いやわらかな灰緑色に、三角形の葉をそよがせている。
— 宮本百合子 『二つの庭』 青空文庫
海藻のような寄生木が、灰緑色にもさもさと親木を覆いつくして、枯れ枝が、苦しげにその間から腕を延して外に出ている。
— 宮本百合子 『南路』 青空文庫
ゆさ/\と嫩らかな食えそうな若葉をかぶった白樫の瑞枝、杉は灰緑の海藻めいた新芽を簇立て、赤松は赭く黒松は白っぽい小蝋燭の様な心芽をつい/\と枝の梢毎に立て、竹はまた「暮春には春服已に成る」と云った様に譬え様もない鮮やかな明るい緑の簑をふっさりとかぶって、何れを見ても眼の喜である。
— 徳冨健次郎 『みみずのたはこと』 青空文庫
「どうも廻り廻って悪い場所に来たもんじゃなア」と師父ブラウンが窓越しに灰緑色の葦や銀色の川波を眺めながら云った。
— THE SINS OF PRINCE SARADINE 『サレーダイン公爵の罪業』 青空文庫