異相
いそう
名詞
標準
文例 · 用例
言い換えれば、異質異相の境界面の存在しない所には生命は存在し得られないのである。
— 寺田寅彦 『自由画稿』 青空文庫
あたかも可し、さる必用を要する渠が眼は、世に有数の異相と称せらるる重瞳である。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
」「うむ、」といって、重瞳異相の悪少は眠くないその左の目を擦った。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
が、そんな異相な木彫とすると、どこの宮堂でも引取りません。
— 泉鏡花 『雪柳』 青空文庫
然し弥兵衛等も政宗に会って見て驚いたろう、先ず第一に年は僅に二十四五だ、短い髪を水引即ち水捻にした紙線で巻き立て、むずかしい眼を一筋縄でも二筋縄でも縛りきれぬ面魂に光らせて居たのだから、異相という言葉で昔から形容しているが、全く異相に見えたに相違無い。
— 幸田露伴 『蒲生氏郷』 青空文庫
右には武光岩、鬼岩、蟇岩、帽子岩、ただ見あぐる岩石の突屹相、乱錯相、飛躍相、蟠居相、怪異相、趺坐相相相である。
— 北原白秋 『木曾川』 青空文庫
強いて名づけたら、いばら観音とでも言うか、頭にはいばらの冠をいただき、お姿もまた異相を備えた七八寸の土像でした。
— 京へ上った退屈男 『旗本退屈男 第四話』 青空文庫
謙介は成長してから父に似た異相の男になったが、後日安東益斎と名のって、東金、千葉の二箇所で医業をして、かたわら漢学を教えているうちに、持ち前の肝積のために、千葉で自殺した。
— 森鴎外 『安井夫人』 青空文庫