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空性

くうしょう
名詞
1
標準
文例 · 用例
」「愛読、というわけでもないのですが、勿論きらいでもありません」「そのきらいでもない、というのは所謂科学小説の架空性を好まれる――というのではないですか。
蘭郁二郎 脳波操縦士 青空文庫
若い女の上の空性、実に私はきらいよ。
一九四一年(昭和十六年) 獄中への手紙 青空文庫
文学が科学に向った想像力においては殆ど常にあわれな架空性に陥り、科学がその文学的な想像力においては、やはりとかく憫然たる架空性に陥らざるを得ないという今日の文化のありようについて、私たちは真率なかなしみと、それからの成長の熱い願いとを抱いてよいのだろうと思う。
――そこにある科学と文学とのいきさつ―― 文学のひろがり 青空文庫
徳川時代というものの中で眺める馬琴というような作家は、同時代の庶民的情調に立つ軟文学の気風に対して、教養派のくみであったろうが、馬琴の芸術家としての教養の実体はモラルとしての儒教に支那伝奇小説の翻案的架空性を加えたものが本道をなしていたと思える。
宮本百合子 作家と教養の諸相 青空文庫
民衆は客観的には存在しないといわれたことは、現実として民衆が種々の可能と素質とに於て客観的に存在している事実を抹殺してのことであるから、知識人の批判精神が民衆にとって無用であるという論旨も不幸にして同様の架空性に立たざるを得なかった。
宮本百合子 昭和の十四年間 青空文庫
文学の問題としてみれば、誰の目にもその矛盾や架空性が明かであったこの独特な民衆の文学論が、作家の心理に何等か影響する背後の力をもっていて、例えば森山啓の「収獲以前」という小説を生んだりしていることは注目を惹かれる。
宮本百合子 昭和の十四年間 青空文庫
『ハワイ・ファイヴ・オー』におけるハワイという現実の場所は、物語の架空性と好一対の、架空の場所として機能したのではなかったか。
片岡義男 ラハイナまで来た理由 青空文庫
地元の人たちにとっては現実の場所でありながら、世界じゅうから来る観光客にとっては、現実の場所でありながらもなお架空性のきわめて強い場所、それがハワイだった。
片岡義男 ラハイナまで来た理由 青空文庫