弄び
もてあそび
名詞
標準
文例 · 用例
」第二十二「左右して、婦人が、激ますやうに、賺すやうにして勧めると、白痴は首を曲げて彼の臍を弄びながら唄つた。
— 泉鏡太郎 『高野聖』 青空文庫
」 看護員は身を斜めにして、椅子に片手を投懸けつつ、手にせる鉛筆を弄びて、「いや。
— 泉鏡花 『海城発電』 青空文庫
むす子はエレンが内懐から取出して弄び始めようとしたカルタを引ったくって取上げて仕舞ったのである。
— 岡本かの子 『母子叙情』 青空文庫
あの人間が人間の体を裂き弄び喜ぶのは、重くろしく汚はしく辱かしい気がする。
— 岡本かの子 『川』 青空文庫
新吉は菓子フォークで頭を押えるとリキュール酒が銀紙へ甘い匂いを立てゝ浸み出るサワラを弄びながら言った。
— 岡本かの子 『巴里祭』 青空文庫
彼は言う――すでに買われた幇間である、聘ばれている間は客の弄びもの許りではなく客が唯一の主である以上、客の生命さえ護る心得がなくてはならない。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
長屋の人たちが集まってのいわば夕涼み話には、娘たちは余り立ちいらず、団扇を膝の上で弄びながらぼんやりときいているのだが、それがつつましいというより、むしろがしんたれ(不甲斐性者)に見えた。
— 織田作之助 『婚期はずれ』 青空文庫
廊下では、その握られた時氷のように冷たかった、といった手で、頬にかかった鬢の毛を弄びながら、「洲の股の御前も、山の峡の婆さまも早かったな。
— 泉鏡花 『悪獣篇』 青空文庫