私子
しし
名詞
標準
文例 · 用例
そいつにすっかり欺されてしまって、私子供を孕んでしまったの。
— 林芙美子 『新版 放浪記』 青空文庫
私は豊原の町中で誰も知らない者がない程華美な暮しをしていたのよ、私がお嫁に行った家は地主だったけど、ひらけていて私にピヤノをならわせてくれたの、ピヤノの教師っても東京から流れて来たピヤノ弾きよ、そいつにすっかり欺されてしまって、私子供を孕んでしまったの。
— 林芙美子 『放浪記(初出)』 青空文庫
――いいわね ターニャ、よく散歩して赧い赧い顔をした赤ちゃんを早くお生みよ――私子供がそりゃすきなんです それはターニャが、腹の重さで心地足を引ずるようにし乍ら、歩いて居る様子でよくわかった。
— 宮本百合子 『無題(七)』 青空文庫
私子供うみたいと思いそうなの――わかる?
— 宮本百合子 『夜の若葉』 青空文庫
これまで、私子供の時からの癖で、母様の云ったりしたりなさることを、あまり重大にとりすぎていたのかもしれないと思うのよ」 伸子は、今日印象を得て来た母の心の単純さ正直さを説明した。
— 宮本百合子 『伸子』 青空文庫
「私子供の側で死にたいから。
— 豊島与志雄 『幻の彼方』 青空文庫
テダの子の一人にオトヂキョという神があり、鼠はまたその生める子であったといい、或いは直接にテダの私子、生みそこないの子として生まれたともいって、人間世界に降って蕃殖し、且つ兇暴を逞しくするのだと、ある限りの悪称をもって憎み罵っているのは、珍らしい古文献といってよい。
— 柳田国男 『海上の道』 青空文庫