有の実
ありのみ
名詞
標準
文例 · 用例
吾人は彼の描いた一つの椅子から、すべての物質に遍する本有の実在を直覚する。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
又は長谷倉とか東海林とかいったような稀有の実在名を持出すと振仮名の間違いという恐ろしい危険に陥り易いし、わざとらしい感じが必ず附き纏うのだから万止むを得ない限り使わない方が無難と考えられる。
— 夢野久作 『創作人物の名前について』 青空文庫
無常彼に迫りて、無常の実を示し、離苦彼を囲みて、離苦の実を表はし、恋愛その偽装を脱して、恋愛の実を顕はし、痴情その実躰を現じ、大悪その真状を露はし、彼をして棘然として顛倒せしめ、然る後に彼をして始めて己れの存立の実なると天地万有の実なるとを覚知せしめたり。
— 北村透谷 『心機妙変を論ず』 青空文庫
と云って、羽田の悪酒を詰めるでもありませんから、船中では有の実でも噛りましょう。
— 江見水蔭 『悪因縁の怨』 青空文庫
この守り札は、「真」の字をもって宇宙の本体、万有の実体、精神の本性、真理の本源等を代表するものとし、これに対して一向専念に礼拝すれば、わが精神中に宇宙の大観を喚起し、心性の帰向を一つにし、良心の集中を促し、たちまち「精神一到何事不成」(精神一到何事か成らざらん)の境遇に至らしむるを得べし。
— 井上円了 『迷信と宗教』 青空文庫