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渋団

しぶだん
名詞
1
標準
文例 · 用例
隠し芸を、凄い奴を知ってるなあ」 という声がかかると、林田は、片手はハーモニカを離す訳にはいかないが、片手には、二月の天龍谿谷の、七十年振りの厳寒というのに、渋団扇を持って、手振り足振り、お睦ちゃんの変装で、舞台へ現われるのだった。
――生きる為に―― 山谿に生くる人々 青空文庫
六 あたかもその時、役者の名の余白に描いた、福面女、瓢箪男の端をばさりと捲ると、月代茶色に、半白のちょん髷仮髪で、眉毛の下った十ばかりの男の児が、渋団扇の柄を引掴んで、ひょこりと登場。
泉鏡花 陽炎座 青空文庫
同じ色した渋団扇、ばさばさばさ、と遣った処は巧緻いものなり。
泉鏡花 陽炎座 青空文庫
」と急いで、渋団扇で三人へ皆配る。
泉鏡花 陽炎座 青空文庫
」 と饂飩屋は、渋団扇を筵に支いて、ト中腰になって訊く。
泉鏡花 陽炎座 青空文庫
渋団扇で、頭を叩くと、ちょん髷仮髪が、がさがさと鳴る。
泉鏡花 陽炎座 青空文庫
小料理屋といっても、やはり荒物屋兼帯のような店で、片隅には草鞋や渋団扇などをならべて、一方の狭い土間には二、三脚の床几が据えてあった。
鷹のゆくえ 半七捕物帳 青空文庫
夏の暑い盛りだと下帯一つの丸裸で晩酌の膳の前にあぐらをかいて、渋団扇で蚊を追いながら実にうまそうに杯をなめては子供等を相手にして色々の話をするのが楽しみであったらしい。
寺田寅彦 重兵衛さんの一家 青空文庫