捲土
けんど
名詞
標準
文例 · 用例
今親戚のところへ疎開してまっけど、また大阪市内で本屋しまっさかい、雑誌買いに来とくなはれ」と、三ちゃんは既に捲土重来の意気込みであった。
— ――戦災余話 『起ち上る大阪』 青空文庫
併し政弘と云い、義就と云い、一旦その領国を固めて捲土重来上洛の期を謀って居るのである。
— 菊池寛 『応仁の乱』 青空文庫
そうして彼等はこの目的の下に、生命知らずの無頼漢をすぐり集めて、曲馬団を組織して捲土重来したものに違いないのである。
— 夢野久作 『暗黒公使』 青空文庫
我等の主人公は、このように不平をいったり、涙を流したりはしたけれど、そのあいだも、彼の頭脳は決して活動をやめることなく、捲土重来の意気に燃えながら、ひたすら計画の熟するのを待ち侘びていた。
— または チチコフの遍歴 第一部 第二分冊 『死せる魂』 青空文庫
私はここ一年あまり、博士とはほとんど文通もしていなかったので、博士の近状について何ら知るところがなく、おまけに最近、しばらく筆を絶っておられた探偵小説の方面へも捲土重来の意気込みで執筆されるという噂を聞いていたので、健康もますます順調に回復されていたものと喜んでいたくらいだったのである。
— 平林初之輔 『作家としての小酒井博士』 青空文庫
文壇に乗出したそもそもの初めこそ小説を生涯の使命とする意気込があったらしいが、人気が去ってからは他の仕事に転々して、最後に再び文壇に舞戻った時は最う時代に遅れてしまって、口を糊するに忙がしくて捲土重来の花を咲かせようとする意気地が抜けていた。
— 内田魯庵 『美妙斎美妙』 青空文庫
――私は、やがて息を吹き返すであらう音無が、更に捲土重来の勢ひで、この宝物に飛びかゝるであらうことを深く心配しはじめたのである。
— 牧野信一 『鬼の門』 青空文庫
六 民法延期戦 既成法典の施行延期戦は、商法については延期軍の勝利に帰したが、同法は民法施行期日と同日まで延期されたのであるから、断行派が二年の後を俟ち、捲土重来して会稽の恥を雪ごうと期したのは尤も至極の事である。
— 穂積陳重 『法窓夜話』 青空文庫