蔵幅
ぞうふく
名詞
標準
文例 · 用例
魁軒さんの蔵幅に榛軒の柏軒に与へた書がある。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
惜しい事に余の家の蔵幅にはその南画が少なかった。
— 夏目漱石 『思い出す事など』 青空文庫
半江のその画は、重太郎氏が数ある蔵幅のなかでも一番好いてゐただけに、松蔵氏は何とかして買戻さねば承知出来なくなつた。
— 大正六(一九一七)年 『茶話』 青空文庫
余が家この外に蔵幅なければ三年経ても五年経ても床の間の正面はいつもこの古びたる竹なり。
— 正岡子規 『明治卅三年十月十五日記事』 青空文庫
此間美術商として名高いドユラン・リユイル氏がその蔵幅を毎火曜日の午後に公開するのを其私宅へ観に行つた。
— 與謝野寛、與謝野晶子 『巴里より』 青空文庫
幾百と云ふ蔵幅は大抵モネ、ピサロオ、セザンヌ、シスレエ、ドガア、ルノワアル等近代名家の作家の作品で満ちて居る。
— 與謝野寛、與謝野晶子 『巴里より』 青空文庫
中にモロオ氏が一人で出品した十余室の絵画は凡て前に挙げた印象派名家の初期の作|許でリユイル氏の蔵幅と併せて此派の発達した経過を研究するのに甚だ有益を感じた。
— 與謝野寛、與謝野晶子 『巴里より』 青空文庫
下婢に茶菓を持運ばせた後、その蔵幅中の二三品を示し、また楽焼の土器に俳句を請いなどしたが、辞して来路を堤に出た。
— 永井荷風 『百花園』 青空文庫