憎々
憎々
名詞
標準
文例 · 用例
彼女はその憎々しい奴どもの頸を引っつかんで、床にいる猫の鼻先へ、無理にもぐいぐいと押しつけてやろうとする、強い衝動を押えることができなかった。
— 萩原朔太郎 『ウォーソン夫人の黒猫』 青空文庫
そしてこの場合に、反動の地位に置かれたものは、その表面の意志を抑圧される結果として、或る変形したる、歪みたる、逆説的なる、寓意的なる、一の「憎々しきもの」として、それの歪像を映すのが普通である。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
故にニヒリズムは近代の逆説された叙事詩思想で、著者の所謂「変装した陰謀者」「歪みたる憎々しきもの」の一つである。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
特に立体派や、未来派や、表現派等に見るように、彼等の詩的情操の本質感は、或る意地|悪しきもの、歪みたるもの、ヒン曲げられたるもの、グロテスクのもの、憎々しきもの、残酷なるものの表象である。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
私がどんな生意氣を言ひ、屁理窟をこね、憎々しく突つかかつて行く場合にも、彼は寛大に情意を理解し、決して腹を立てることがなかつた。
— 萩原朔太郎 『芥川龍之介の死』 青空文庫
それから默つて、世にも憎々しげに人の顏をにらみつける。
— 萩原朔太郎 『田端に居た頃』 青空文庫
それは僕にとつて、憎々しき迄強げに見える、英雄の印象を感じさせる。
— 萩原朔太郎 『室生犀星に就いて』 青空文庫
赤坊の顔を覗き込んでる母親の日本髪を上の方からチラと憎々しげに見遣つた。
— 中原中也 『医者と赤ン坊』 青空文庫