眺め入る
ながめいる
動詞
標準
文例 · 用例
あたかも野辺にさすらいて秋の月のさやかに照るをしみじみと眺め入る心持と或は似通えるか。
— 国木田独歩 『恋を恋する人』 青空文庫
しかし杖を立てゝ美しい花をぢつと眺め入ると、君助の深く閉した憂愁の顔色がうす明るんで「おゝ、全く小町が植ゑたものゝやうだ」 といった。
— 岡本かの子 『小町の芍薬』 青空文庫
しかし杖を立てゝ美しい花をぢつと眺め入ると、君助の深く閉した憂愁の顔色がうす明るんで「おゝ、全く小町が植ゑたものゝやうだ」 といつた。
— 岡本かの子 『小町の芍薬』 青空文庫
眺め入る河面は闇を零細に噛む白波――河神の白歯の懐しさをかつちりかの女がをとめの胸に受け留める。
— 岡本かの子 『川』 青空文庫
あなやの間ではあるが、消えてはまた生まれ、あちらと思えばこちら、連続と隠顕と、ひととき眼を忙失させるけれども、なお眼を放たないなら、眺め入るものに有限の意識を泡にして、何か永遠に通じさすところがある。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
私が思わず硝子近く寄って、つくづく眺め入るのを見て、有志の一人は側に来て言った。
— 岡本かの子 『みちのく』 青空文庫
古い一絃琴は仏蘭西わたりのピアノの傍の薄青い陰影のなかにたてかけて、おほかたは静かに眺め入るべきものである。
— 北原白秋 『桐の花とカステラ』 青空文庫
何處の所だつたか、攝津が「お前と手分して尋ねようと思うて云々」と語ると、棧敷のそこここで忽ち多くの手つて、かの未だ知らざる情緒海のあなたを眺め入るやうに見えた。
— 木下杢太郎 『京阪聞見録』 青空文庫